今回は、古紙幣の中から昭和19年(1944年)に発行された改正不換紙幣 10円 3次10円 和気清磨の価値と見分け方についてご紹介を致します。
この不換紙幣(ふかんしへい)とは、金・銀と交換できない紙幣を言います。現在の流通しているお金はすべて不換紙幣です。
逆に、金・銀と交換できる紙幣は兌換紙幣(だかんしへい)と言います。
また、和気清磨の図案で印刷されるのが3回目であるため、通称「3次10円」と呼ばれます。ちなみに、和気清磨の図案では、計4回印刷されており、4次10円まで存在しています。
紙幣表面の右側に印刷されている肖像は和気清麿で、奈良時代末期から平安時代初期の公卿(くぎょう)で、現在の岡山県で生まれ、称徳(しょうとく)天皇に仕え、769年に起きた皇位継承問題で、奈良時代の僧侶である弓削道鏡(ゆげのどうきょう)が天皇となるのを阻止した偉人です。
ちなみに、公卿(くぎょう)とは、あまり聞きなれない言葉ですが、太政官の最高幹部として国政を担う職位です。つまり現在でいう内閣や国務大臣ってところでしょうか。
また、裏面の中央に和気清磨を主祭神とする護王神社(ごおうじんじゃ、京都府京都市上京区)の本殿が印刷されています。
また、この兌換券10円は、3次10円とも呼ばれています。これは、図案が変わるものの4回10円紙幣が発行され、その図案がすべて和気清麿が印刷されたことからこの紙幣を通称、「3次10円」と呼びます。ちなみに、1回目に発行された10円紙幣を通称「1次10円」、2回目に発行された10円紙幣を「2次10円」と呼びます。
昭和5年(1930年)頃の世界は、金をお金の価値の基準とする金本位制でした。
あまり聞きなれない言葉ですが、この金本位制とは、日本銀行が発行した紙幣と同額の金を保有しておき、いつでも金と紙幣を交換できる制度です。
当時の日本もこの金本位制を導入しており、事実、1次10円は、金や銀などと交換できる兌換券でした。
が、昭和4年(1929年)の世界恐慌をきっかけに、世界の多くの国々は金本位制を廃止し、”通貨管理制”へと移行しました。
日本も昭和17年に施行された日本銀行法によって、不換紙幣を発行できるようになり、昭和18年(1943年)に不換紙幣2次10円が発行されています。
今回ご紹介をさせて頂いております改正不換紙幣 10円が発行された日本は、第二次世界大戦真っ只中で、紙幣の製造に高いコストをかけていられる状態ではありませんでした。
その為、改正不換紙幣 10円 3次10円 和気清磨は、印刷方式や原料も低コストとなっているうえ、通し番号がなく、組番号のみで赤色に変更された粗悪な紙幣です。
気になる価値ですが、完全未使用なら、9,000円もの値が付きます。
さらに!証紙付となると11,000円もの高値で取引されています。
この証紙付とは、見た目は「切手」のようなもので、当時、日本銀行のほか、各地の金融機関に配布され、1枚1枚の銀行券に糊付けする作業が徹夜で行われたそうで、新様式の紙幣が発行されるまでの間、臨時的に新円と見なし使用できることを意味しています。
完未 | 未使用 | 極美品 | 美品 | 並品 | |
9,000円 | 7,000円 | 3,500円 | 1,500円 | 500円 | |
証紙付 | 11,000円 | 9,000円 | 4,500円 | 2,000円 | 800円 |
※日本貨幣商協同組合発行「日本貨幣カタログ」より価格を掲載しております。
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