今回は、安政6年(1859年)から明治元年(1868年)に鋳造された安政一分銀の価値と見分け方についてご紹介をさせて頂きます。
安政一分銀は、写真のように長方形をした銀から作られた重さ8.63グラムの古銭です。
当時は、この一分銀1枚で1000文の価値があり、現在の価値になおすと33,000円前後に相当します。
安政時代には、大老井伊直弼が江戸城桜田門外で暗殺される桜田門外の変や日米修好通商条約に反対する者たちを弾圧した安政の大獄(あんせいのたいごく)が起こった時代でもあります。
安政一分銀の表面には、一分銀と刻印されおり、裏面には、「定 銀座 常是」と刻印されています。
銀座とは、江戸時代 幕府により銀座以外での貨幣鋳造が厳しく取り締まられたことからその名が付けられ、銀の地金の売買や銀貨の幕府への上納を担当していました。東京の銀座が当時、その銀座があった場所でそれが現在の地名となっております。そのほか、京都や大阪にも銀座はありました。
一方の常是(じょうぜ)とは、「寶」という字や「大黒」などの極印打ちや封を担当していたところです。
安政一分銀はおおかたは5,500円から6,500円ぐらいですが、中にはとてもレアなものがあり、その価値なんと12万円にもなります。
ですのでしっかりと見分け方を覚えていって下さいね(^^♪
安政一分銀の価格は、天保一分銀と同様に表面と裏面の縁にある逆桜の位置でその種類が決まり、買取り価格もそれに応じて変動します。
※逆桜も無い安政一分銀もあり、下の表のZから始まる記号になります。
ちなみに、逆桜とは、逆さまになった桜を意味しており、縁に刻まれた桜の向きが一つだけ違った方向を向いております。
写真はその縁に刻まれている逆桜の例です。
赤い印の中の桜と、他の桜と比較して頂ければ一目瞭然でお分かりになるかと思います。
その枠の中の桜が逆桜と呼ばれるものです。
その逆桜の位置をアルファベットのAからT(表面)、aからt(裏面)で決定します。
安政一分銀の逆桜の位置が分かりましたら下の表に当てはめて頂ければ一般的な相場の価格がお分かりになります。
写真では、Bbとなり価格は¥5,500となります。
※逆桜が無い記号はZです。
このほかにも、表面の一分銀と刻印された「一」の字末端に筆止めの玉があれば玉一と呼ばれ、状態が良ければ10万円もの値が付きます。
また、入分(いりぶん)と言って、「分」の1画目と2画目の字が「人」ではなく、「入」になっているととてもレアで、状態が良ければ5万円にもなります。
中柱品とは、「座」にある「土」の第2画目が長くなっている安政一分銀を言います。
それらの価格をまとめましたのでご参考にして下さい。
鋳造枚通 | 名称 | 上 | 中 | 下 |
11,398,600枚 | 普通品 | 7,500円 | 5,500円 | 3,300円 |
中柱品 | 80,000円 | 60,000円 | 45,000円 | |
入分 | 50,000円 | 40,000円 | 28,000円 | |
玉一 | 100,000円 | 80,000円 | 55,000円 |
※日本貨幣商協同組合の「日本貨幣カタログ」より引用させて頂いております。
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