今回は、古紙幣の中から昭和18年12月15日(1943年)に発行された不換紙幣10円(2次10円)の価値と見分け方についてご紹介を致します。
この不換紙幣とは、金・銀と交換できない紙幣を言います。現在の流通しているお金はすべて不換紙幣で、逆に、金・銀と交換できる紙幣は兌換紙幣と言います。
この不換紙幣10円(2次10円)の表面には、和気清麿(わけ の きよまろ)が描かれており、合計4回 和気清麿がデザインされ発行されたことから、それぞれ1次、2次、3次、4次と呼ばれています。
今回ご紹介をする不換紙幣10円は、和気清麿の図案で2回目の発行にあたる為、「2次10円」とも呼ばれています。
不換紙幣10円(2次10円)の表面右側には、和気清麿(わけ の きよまろ)が描かれており、和気清麿の図案が2回目であることから、「2次10円」と呼ばれています。
和気清麿の図案は、計4回描かれており、それぞれ1次10円、2次10円、3次10円、4次10円と呼ばれています。
和気清麿は、奈良時代末期から平安時代初期の公卿(くぎょう)で、現在の岡山県で生まれ、称徳(しょうとく)天皇に仕え、769年に起きた皇位継承問題で、奈良時代の僧侶である弓削道鏡(ゆげのどうきょう)が天皇となるのを阻止しました。
ちなみに、公卿(くぎょう)とは、あまり聞きなれない言葉ですが、太政官の最高幹部として国政を担う職位です。つまり現在でいう内閣や国務大臣ってところでしょうか。
紙幣中央上部には、皇室の菊花紋である十六葉八重表菊が印刷されています。
不換紙幣10円(2次10円)の左上と右下には、通し番号が印刷されています。左下と右上には、3桁の組番号が印刷されています。写真の組番号は、”397”です。
裏面の中央に和気清磨を主祭神とする護王神社(ごおうじんじゃ、京都府京都市上京区)の本殿が印刷されています。
昭和5年(1930年)頃の世界は、金をお金の価値の基準とする金本位制でした。
あまり聞きなれない言葉ですが、この金本位制とは、日本銀行が発行した紙幣と同額の金を保有しておき、いつでも金と紙幣を交換できる制度です。
当時の日本もこの金本位制を導入しており、事実、1次10円は、金や銀などと交換できる兌換券でした。
が、昭和4年(1929年)の世界恐慌をきっかけに、世界の多くの国々は金本位制を廃止し、”通貨管理制”へと移行しました。
日本も昭和17年に施行された日本銀行法によって、不換紙幣を発行できるようになり、昭和18年(1943年)にこの不換紙幣2次10円が発行されました。
ちなみに、”通貨管理制”とは、金の保有量とは無関係に、中央銀行がお札を刷って市場に供給、国の信用によってお金の価値が決まる世界各国が取り入れている現在の仕組みです。
気になる不換紙幣10円(2次10円)の価値ですが、完全未使用で4、000円、並品なら350円となります。
不換紙幣10円(2次10円)のなかには、「証紙」が貼り付けられた「証紙付」と呼ばれる紙幣があり、「証紙付」で無いものより若干高値で取引されています。
この証紙付とは、見た目は「切手」のようなもので、当時、日本銀行のほか、各地の金融機関に配布され、1枚1枚の銀行券に糊付けする作業が徹夜で行われたそうで、新様式の紙幣が発行されるまでの間、臨時的に新円と見なし使用できることを意味しています。
完未 | 未使用 | 極美品 | 美品 | 並品 | |
4,000円 | 3,000円 | 1,500円 | 700円 | 350円 | |
証紙付 | 5,000円 | 4,000円 | 2,000円 | 1,200円 | 600円 |
※日本貨幣商協同組合発行「日本貨幣カタログ」より価格を掲載しております。
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