今回は、寛永通宝の4文銭の価値と見分け方についてご紹介を致します。
「寛永通宝」とひとことで言ってもいろんな分類の仕方があって、種類も数百種類もあるんですよ。
なぜこれほどまでに種類が多いかというと、どこで発行された寛永通宝かを区別するために、書体や大きさ、材質が違っているんですね。それで数百にもおよび種類があるという訳なんですね。
ちなみに、その寛永通宝を作っていたところが「銭座(ぜにざ)」と呼ばれるところで、幕府が応募し許可が与えられた請負の商人たちだったんですよ。
一分銀や二分銀などの銀貨を作っていたところは「銀座」と呼ばれ、東京の銀座は当時その銀座があった場所で現在の地名となって残っています。
それら寛永通宝には、母銭と通用銭があり、母銭は、通用銭を鋳造する時の母型(ぼけい)で、材質や寸法に違いがあります。
母銭は通用銭と違って、市場に出回ることが無い為希少価値が高くコレクターの間でも人気です。
また、古寛永と新寛永にも分類することが出来るんですよ。
古寛永は、寛文8年(1668年)以前に作られた寛永通宝で「寶」の字の「貝」の部分の下が「ス」になっていれば古寛永、「ハ」になっていれば新寛永に分類することが出来ます。
新寛永の中には、裏面に波型模様がある4文銭と模様が無い1文銭があって、4文銭の中には、波型模様が 21 波のものと 11 波のものがあるんですよ。
↓こちらが古寛永です。
↓こちらが新寛永です。
見分け方は簡単で、裏面に波型模様があれば4文銭です。模様が無ければ1文銭なんですよ。
ただ、4文銭の中にも2種類あって、波型模様が 21 波のものと 11 波のものがあります。
左側の寛永通宝が11波、右側が21波です。
明和5年(1768年)の発行当時は、21波でしたが、鋳造が困難だった為、翌年に11波に簡略化され鋳造されました。
ちなみに、なぜこのような波型がデザインされたかというと、この4文銭を発行した当時の勘定奉行川井久敬(かわい ひさたか)の家紋だったからなんでよ。
気になる価値ですが、21波で希少価値が高いのが「長尾寛」と呼ばれる寛永通宝で、通用銭で2.8万円から1.8万円もの値が付くことがあります。母銭ともなると、40万円から20万円もの値段で取引されるほど希少価値が高くなります。
こちらが「長尾寛」で、13画目が通常の寛永通宝より長くなっています。
11波で希少価値が高いのが「太ノ」と呼ばれる寛永通宝で、通用銭で6千円から2.5千円、母銭になると、15万円から10万円にもなることがあります。
「太ノ」とは江戸深川の会津藩邸で鋳造された寛永通宝で、裏面の波の中にカタカタの「ノ」の太字があるのが特徴です。
素材 | 年代 | 母銭 | 通用銭(円) | |
長尾寛(21波) | 銅 | 明和5年(1768年) | 40万円~20万円 | 2.5万~1.8万 |
短尾寛(21波) | 銅 | 明和5年(1768年) | 25万円~13万円 | 500~300 |
太ノ(11波) | 鉄 | 慶応2年(1866年) | 15万円~10万円 | 6,000~2,500 |
潤字背ト(11波) | 鉄 | 慶応2年(1866年) | 50万円~30万円 | 3,500~1,500 |
※日本貨幣商協同組合発行「日本貨幣カタログ」より価格を掲載しております。
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