寛永通宝の母銭の見分け方通用銭の数倍、数十倍の価値になることも
今回は、寛永通宝の母銭と通用銭の見分け方ついてご説明を致します。
「母銭」ってあまり聞きなれない言葉ですが、寛永通宝には、通用銭と母銭があります。
通用銭とは、市場に出回って、実際に商品の売買に使用されたお金を言います。
一方、母銭とは、通用銭を鋳造する時の母型(ぼけい)で、市場に出回ることはありません。
母銭は、通用銭よりほんのわずかだけ大きく、文字なども鮮明という特徴があり、材質や寸法にも違いがあります。
が、それらを見分けるにはある程度の経験が必要でとても難しいです(^^;
ですが、母銭の価値は通用銭の数十倍から数百倍にもなることがありますので最後までじっくりお読み下さいね。
寛永通宝の母銭と通用銭の見分け方
まず最初に、寛永通宝の通用銭をご覧ください。
こちらは仙台銭の通用銭です。
そして、こちらが冒頭でご覧頂きました仙台銭の母銭です。
如何ですか?
ご覧頂いた通り同じ仙台銭でも全く違うのがお分かりになりましたでしょうか。
母銭と通用銭との見分け方のポイントは以下の3つです。
1. 素材が違う!
2. 至輪径(しりんけい)が違う!
3. 文字や模様がハッキリしている!
では、母銭と通用銭を比較しながら確認をしましょう。
上の比較写真をご覧ください。
至輪径(しりんけい)が母銭の方が大きく、通用銭の方が小さいのがお分かりになるかと思います。
母銭は、鋳型(いがた)と言って、金属を溶かして流し込む型を作るための銭です。
その鋳型から作られる通用銭は、高温からの冷却時の熱収縮によって至輪径や文字が小さくなったり、歪みなどを引き起こします。
その結果、通用銭の至輪径(しりんけい)が母銭に比べて小さく、文字や模様がハッキリしないという銭になります。
出来上がった銭は、ヤスリがけで残留物を取る為、大きさ(直径)が変化しますので、母銭と通用銭の比較は、大きさ(直径)ではなく至輪径で比較をします。
寛永通宝の母銭の価値
気になる寛永通宝の母銭の価値ですが、どれほど違うのかご紹介を致します。
下の表は寛永通宝コレクターに人気が高い寛永通宝の島屋文や正字文の母銭と通用銭の価格です。
ご覧頂いてお分かりになりますように、通用銭に比べて母銭は何百倍もの価値になる事があります。
”稀”とあるのは、希少価値が高く値段が付けられておりませんが、通用銭の何倍、何十倍もの価値になるかと思います。
名称 | 素材 | 年代 | 母銭 | 通用銭 |
島屋文 | 銅 | 寛文8年(1668年) | 稀 | 30万円~25万円 |
島屋文(無背) | 銅 | 寛文8年(1668年) | 稀 | 3.5万円~1.5万円 |
正字文 | 銅 | 寛文8年(1668年) | 5万円~2.5万円 | 150円~100円 |
正字入文 | 銅 | 寛文8年(1668年) | 15万円~6万円 | 2,000円~500円 |
退点文 | 銅 | 寛文8年(1668年) | 18万円~6万円 | 3,000円~600円 |
享保期 | 銅 | 享保2年(1717年) | 35万円~13万円 | 1,000円~500円 |
虎ノ尾寛小字(十万坪) | 銅 | 元文元年(1736年) | 4万円~2.5万円 | 500円~300円 |
※日本貨幣商協同組合発行「日本貨幣カタログ」より価格を掲載しております。
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