古銭小判金の種類と価値|高い小判金は900万円以上の価値
今回は、古銭の中から江戸時代に鋳造された小判金について、その種類と価値を詳しくご紹介致します。
小判金は、豊臣秀吉の命で鋳造された天正小判が始まりと言われています。
江戸時代に作られた小判金の形は楕円形で、表面には全体的に打目(小判金の表面全体に彫られた横線)が彫られ、上下には、扇枠に囲まれた五三桐(ごさんのきり)が描かれています。
また、中央上部に「壱両」、下部に後藤光次の花押の刻印が打たれています。
江戸時代に作られた小判金は、慶長小判金・元禄小判金・宝永小判金・正徳小判金・享保小判金・佐渡小判金・元文小判金・文政小判金・天保小判金・安政小判金・万延小判金の全11種類があります。
それら11種類の小判金について見分け方や価値を種類ごとに詳しく解説しておりますので最後までお読み下さいね(^^♪
Contents
慶長小判金の見分け方と価値
慶長小判金は、慶長6年(1601年)から元禄8年(1695年)にかけて鋳造されました。
慶長小判金の表面には、「たがね」と呼ばれる金属や岩石を加工する道具で畳の模様のような茣蓙目(ござめ)が刻まれています。
また、上下に「五三桐」を囲む扇枠、中央上部に「壹両」、下部に「光次(花押)」の極印が押されています。
裏面には、中央に後藤家の花押、下部の右ないし左端に金座人印、さらに吹所の験極印である吹屋棟梁印が打印されています。
ちなみに金座とは、金貨の鋳造を幕府から独占的に請け負った貨幣鋳造組織で、金座の役所であった後藤役所、地金の製造を担当した金座人役所、貨幣の成形を担当した吹所(ふきしょ)の3つの組織からなっていました。
慶長小判金の品位は、金が85.7%、銀が14.3%です。また、量目は、17.73グラムです。
気になる慶長小判金の価値ですが、極印や製造から江戸座・京座・駿河座に分類され価値が違ってきます。江戸座・京座・駿河座とは、金座があった場所を意味しています。
また古鋳とは、慶長5年(1600年)年頃に発行された初期の慶長小判金で長小判(ながこばん)とも呼ばれます。長小判の特徴は、不規則で細かな凹型の断面をしています。上記写真の慶長小判金は、この慶長古鋳小判金です。
種別 | 上 | 中 | 下 |
江戸座 | 300万円 | 200万円 | 130万円 |
京座 | 320万円 | 250万円 | 150万円 |
駿河座 | 350万円 | 250万円 | 160万円 |
古鋳 | 900万円 | 750万円 | 450万円 |
※日本貨幣商協同組合発行「日本貨幣カタログ」より価格を掲載しております。
元禄小判金の見分け方と価値
元禄小判金は、元禄8年(1695年)から宝永7年(1710年)にかけて鋳造されました。
元禄小判金の表面には「たがね」と呼ばれる金属や岩石を加工する道具で畳の模様のような茣蓙目(ござめ)が刻まれています。
上下に「五三桐」を囲む扇枠、中央上部に「壹両」、その下部に「後藤光次」と花押の極印があります。
また、裏面中央には、後藤家の花押、下部の左端に「金座人印」、その下には「吹屋棟梁印」が打印されています。
中央の花押の左には元禄の「元」の字が打印されています。
元禄小判金の裏面の「元」の字の4画目には、跳ねが長い「長元」と、短い「短元」が存在しており、「短元」の方が希少価値が高く高値で取引されています。
下の写真の元禄小判金は跳ねが長い「長元」です。
元禄小判金の品位は、金が56.4%、銀が43.6%です。また、量目は、17.81グラムです。
気になる元禄小判金の価値ですが、長元が360万円から180万円に対して、短元は500万円から250万円と短元の方が希少価値が高くなります。
また、偶然大吉と言って、金座人印と吹屋棟梁印が「大」と「吉」からなる判金は希少価値が高く高値で取引されています。
種別 | 上 | 中 | 下 |
長元 | 360万円 | 250万円 | 180万円 |
短元 | 500万円 | 350万円 | 250万円 |
偶然大吉 | 600万円 | 500万円 | 350万円 |
※日本貨幣商協同組合発行「日本貨幣カタログ」より価格を掲載しております。
宝永小判金の見分け方と価値
宝永小判金は、宝永7年(1710年)から正徳4年(1714年)にかけて鋳造されました。
宝永小判金の表面には「たがね」と呼ばれる金属や岩石を加工する道具で畳の模様のような茣蓙目(ござめ)が刻まれています。
上下に「五三桐」を囲む扇枠、中央上部に「壹両」、その下部に「後藤光次」と花押の極印があります。
また、裏面中央には、後藤家の家紋の花押、下部の左端に「金座人印」、その下には「吹屋棟梁印」が打印されています。
右上には、宝永を示す年代印の「乾」の字が打印されています。そのため、宝永小判金は「乾字小判(けんじこばん)」とも呼ばれています。
宝永小判金の品位は、金が83.4%、銀が16.6%です。また、量目は、9.34グラムです。
気になる価値ですが、状態が良ければ250万円もの値が付くこともあります。
そのほか、偶然大吉と言って、金座人印と吹屋棟梁印が「大」と「吉」からなる判金は希少価値が高く高値で取引されています。
種別 | 上 | 中 | 下 |
ー | 250万円 | 200万円 | 120万円 |
偶然大吉 | 450万円 | 350万円 | 270万円 |
※日本貨幣商協同組合発行「日本貨幣カタログ」より価格を掲載しております。
正徳小判金の見分け方と価値
正徳小判金は、正徳4年(1714年)5月から8月の短期間だけ鋳造されました。
正徳小判金の表面には「たがね」と呼ばれる金属や岩石を加工する道具で畳の模様のような茣蓙目(ござめ)が刻まれています。
上下に「五三桐」を囲む扇枠、中央上部に「壹両」、その下部に「後藤光次」と花押の極印があります。
また、裏面中央には、後藤家の家紋の花押、下部の左端に「金座人印」、その下には「吹屋棟梁印」が打印されています。
正徳小判金には、年代印がなく、慶長小判金と似ています。
見分け方は、「光次」の字が重なって1本の線になっているのが特徴的です。
下の写真の「光」の6画目と「次」の4画目が重なって1本の線になっているのがお分かりなるかと思います。これが正徳小判金の特徴です。
正徳小判金の品位は、金が83.7%、銀が14.3%です。また、量目は、17.72グラムです。
気になる価値ですが、状態が良ければ400万円もの値が付くこともあります。
そのほか、偶然大吉と言って、金座人印と吹屋棟梁印が「大」と「吉」からなる判金は希少価値が高く高値で取引されています。
種別 | 上 | 中 | 下 |
ー | 400万円 | 300万円 | 230万円 |
偶然大吉 | 稀 | 稀 | 稀 |
※日本貨幣商協同組合発行「日本貨幣カタログ」より価格を掲載しております。
享保小判金の見分け方と価値
享保小判金は、正徳4年(1714年)8月から元文元年(1736年)にかけて鋳造されました。
享保小判金の表面には「たがね」と呼ばれる金属や岩石を加工する道具で畳の模様のような茣蓙目(ござめ)が刻まれています。
上下に「五三桐」を囲む扇枠、中央上部に「壹両」、その下部に「後藤光次」と花押の極印があります。
また、裏面中央には、後藤家の家紋の花押、下部の左端に「金座人印」、その下には「吹屋棟梁印」が打印されています。
享保小判金には、年代印がなく、慶長小判金・正徳小判金とよく似ています。
見分け方は、裏面の花押が慶長のものと比較して小さく、表面の「光次」の「光」の6画目と「次」の第四画が離れているのが特徴です。
下の写真の「光」の6画目と「次」の4画目が離れているのがお分かりなるかと思います。これが享保小判金の特徴です。
正徳小判金と享保小判金の「光次」の書体を比較してみました。左側が正徳小判金で、右側が享保小判金です。
左側の「光次」は重なっているのに対して、享保小判金の「光次」は離れているのがお分かりになるかと思います。
享保小判金の品位は、金が86.1%、銀が13.9%です。また、量目は、17.78グラムです。
気になる価値ですが、状態が良ければ90万円もの値が付くこともあります。
そのほか、偶然大吉と言って、金座人印と吹屋棟梁印が「大」と「吉」からなる判金は希少価値が高く高値で取引されています。
種別 | 上 | 中 | 下 |
ー | 90万円 | 70万円 | 55万円 |
偶然大吉 | 160万円 | 120万円 | 80万円 |
※日本貨幣商協同組合発行「日本貨幣カタログ」より価格を掲載しております。
佐渡小判金の見分け方と価値
佐渡小判金の表面には「たがね」と呼ばれる金属や岩石を加工する道具で畳の模様のような茣蓙目(ござめ)が刻まれています。
上下に「五三桐」を囲む扇枠、中央上部に「壹両」、その下部に「後藤光次」と花押の極印があります。
また、裏面中央には、後藤家の家紋の花押、下部の左端に「金座人印」、その下には「吹屋棟梁印」が打印されています。
右上には、佐渡小判金を示す「佐」が刻印されています。
「金座人印」と「吹屋棟梁印」の組み合わせは、「筋神」・「利神」・「高神」・「又神」の4種類しかありません。
写真の佐渡小判金の座人印は、「筋神」です。
佐渡小判金の品位は、金が86.1%、銀が13.9%です。また、量目は、17.78グラムです。
種別 | 上 | 中 | 下 |
佐渡小判金 | 650万円 | 500万円 | 350万円 |
※日本貨幣商協同組合発行「日本貨幣カタログ」より価格を掲載しております。
元文小判金(真文小判)の見分け方と価値
元文小判金は、元文元年(1736年)から文政元年(1818年)にかけて鋳造されました。
元文小判金の表面には「たがね」と呼ばれる金属や岩石を加工する道具で畳の模様のような茣蓙目(ござめ)が刻まれています。
上下に「五三桐」を囲む扇枠、中央上部に「壹両」、その下部に「後藤光次」と花押の極印があります。
裏面中央には、後藤家の家紋の花押、下部の左端に「金座人印」、その下には「吹屋棟梁印」が打印されています。
また、元文時代を表す年代印の「文」の刻印が真書体で打たれており、他の小判金と見分けることができます。
ただし、「文」が草書体で刻印されている小判金は、文政小判金ですのでご注意下さいね。(^^♪
元文小判金の品位は、金が65.3%、銀が34.7%です。また、量目は、13グラムです。
気になる価値ですが、「金座人印」と「吹屋棟梁印」が「筋・当」、または「筋・神」は佐渡で鋳造さたもので希少価値が高く、他の元文小判金の倍以上もの値が付くこともあります。
また、偶然大吉と言って、金座人印と吹屋棟梁印が「大」と「吉」からなる判金は希少価値が高く高値で取引がされています。
そのほか、献上判と言って、意図的に金座人印と吹屋棟梁印に、「大」「吉」の極印が押された判金があり、希少価値が高く数倍もの値段で取引されています。
その献上判には「大名の収蔵印がある」「両替商の刻印がない」という特徴があります。また献上判は市場に流通しない小判であるため、状態が良いというのも特徴です。
種別 | 上 | 中 | 下 |
ー | 40万円 | 30万円 | 23万円 |
筋当(佐渡鋳) | 80万円 | 55万円 | 40万円 |
筋神(佐渡鋳) | 100万円 | 55万円 | 35万円 |
偶然大吉 | 80万円 | 60万円 | 45万円 |
献上判 | 150万円 | 100万円 | 80万円 |
※日本貨幣商協同組合発行「日本貨幣カタログ」より価格を掲載しております。
文政小判金(草文小判)の見分け方と価値
文政小判金は、文政2年(1819年)から文政11年(1828年)にかけて鋳造されました。
文政小判金の表面には「たがね」と呼ばれる金属や岩石を加工する道具で畳の模様のような茣蓙目(ござめ)が刻まれています。
上下に「五三桐」を囲む扇枠、中央上部に「壹両」、その下部に「後藤光次」と花押の極印があります。
裏面中央には、後藤家の家紋の花押、下部の左端に「金座人印」、その下には「吹屋棟梁印」が打印されています。
また、文政時代を表す年代印の「文」の刻印が草書体で打たれており、他の小判金と見分けることができます。
「文」が真書体で刻印されている小判金は、元文判金ですのでご注意下さいね。(^^♪
文政小判金の品位は、金が55.9%、銀が44.1%です。また、量目は、13.07グラムです。
気になる価値ですが、偶然大吉と言って、金座人印と吹屋棟梁印が「大」と「吉」からなる判金は希少価値が高く高値で取引がされています。
また、献上判と言って、意図的に金座人印と吹屋棟梁印に、「大」「吉」の極印が押された判金があり、希少価値が高く数倍もの値段で取引されています。
その献上判には「大名の収蔵印がある」「両替商の刻印がない」という特徴があります。また献上判は市場に流通しない小判であるため、状態が良いというのも特徴です。
種別 | 上 | 中 | 下 |
ー | 35万円 | 30万円 | 20万円 |
偶然大吉 | 80万円 | 60万円 | 45万円 |
献上判 | 170万円 | 120万円 | 80万円 |
※日本貨幣商協同組合発行「日本貨幣カタログ」より価格を掲載しております。
天保小判金(保字小判)も見分け方と価値
天保小判金は、天保8年(1837年)から文政5年(1858年)にかけて鋳造されました。
文政小判金の表面には「たがね」と呼ばれる金属や岩石を加工する道具で畳の模様のような茣蓙目(ござめ)が刻まれています。
上下に「五三桐」を囲む扇枠、中央上部に「壹両」、その下部に「後藤光次」と花押の極印があります。
裏面中央には、後藤家の家紋の花押、下部の左端に「金座人印」、その下には「吹屋棟梁印」が打印されています。
また、天保時代を表す年代印の「保」の刻印が打たれており、他の小判金と見分けることができます。
天保小判金の品位は、金が56.8%、銀が43.2%です。また、量目は、11.20グラムです。
気になる価値ですが、偶然大吉と言って、金座人印と吹屋棟梁印が「大」と「吉」からなる判金は希少価値が高く高値で取引がされています。
また、献上判と言って、意図的に金座人印と吹屋棟梁印に、「大」「吉」の極印が押された判金があり、希少価値が高く数倍もの値段で取引されています。
その献上判には「大名の収蔵印がある」「両替商の刻印がない」という特徴があります。また献上判は市場に流通しない小判であるため、状態が良いというのも特徴です。
種別 | 上 | 中 | 下 |
ー | 27万円 | 24万円 | 20万円 |
偶然大吉 | 80万円 | 60万円 | 40万円 |
献上判 | 150万円 | 100万円 | 80万円 |
※日本貨幣商協同組合発行「日本貨幣カタログ」より価格を掲載しております。
安政小判金(正字小判)の見分け方と価値
安政小判金は、安政6年(1859年)に鋳造されました。
安政小判金の表面には「たがね」と呼ばれる金属や岩石を加工する道具で畳の模様のような茣蓙目(ござめ)が刻まれています。
上下に「五三桐」を囲む扇枠、中央上部に「壹両」、その下部に「後藤光次」と花押の極印があります。
裏面中央には、後藤家の家紋の花押、下部の左端に「金座人印」、その下には「吹屋棟梁印」が打印されています。
また、安政時代を表す年代印の「正」の刻印が打たれており、他の小判金と見分けることができます。
通常なら、「政」の年代印が極印されるところですが、字画を少なくし発音を合わせるということで「正」の字にしたそうです。
安政小判金の品位は、金が57.0%、銀が43.0%です。また、量目は、8.97グラムです。
気になる価値ですが、献上判と言って、意図的に金座人印と吹屋棟梁印に、「大」「吉」の極印が押された判金があり、希少価値が高く数倍もの値段で取引されています。
その献上判には「大名の収蔵印がある」「両替商の刻印がない」という特徴があります。また献上判は市場に流通しない小判であるため、状態が良いというのも特徴です。
種別 | 上 | 中 | 下 |
ー | 150万円 | 100万円 | 70万円 |
献上判 | 500万円 | 300万円 | 200万円 |
※日本貨幣商協同組合発行「日本貨幣カタログ」より価格を掲載しております。
万延小判金(雛小判)
万延小判金は、万延元年(1860年)から慶応3年(1867年)にかけて鋳造されました。
万延小判金の表面には「たがね」と呼ばれる金属や岩石を加工する道具で畳の模様のような茣蓙目(ござめ)が刻まれています。
上下に「五三桐」を囲む扇枠、中央上部に「壹両」、その下部に「後藤光次」と花押の極印があります。
裏面中央には、後藤家の家紋の花押、下部の左端に「金座人印」、その下には「吹屋棟梁印」が打印されています。
また、万延時代を表す年代印は刻印されておらず、他の小判金と比べ量目が3.30グラムととても小さいのが特徴です。その為、「姫小判」(ひめこばん)とか「雛小判」とも呼ばれています。
万延小判金の品位は、金が57.4%、銀が42.6%です。また、量目は、3.30グラムです。
気になる価値ですが、状態が良ければ20万円もの値が付くこともあります。
そのほか、献上判と言って、意図的に金座人印と吹屋棟梁印に、「大」「吉」の極印が押された判金があり、希少価値が高く数倍もの値段で取引されています。
その献上判には「大名の収蔵印がある」「両替商の刻印がない」という特徴があります。また献上判は市場に流通しない小判であるため、状態が良いというのも特徴です。
種別 | 上 | 中 | 下 |
ー | 20万円 | 15万円 | 10万円 |
献上判 | 120万円 | 90万円 | 70万円 |
※日本貨幣商協同組合発行「日本貨幣カタログ」より価格を掲載しております。
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